「製作委員会に依存せず、内製+直販」で鬼滅の刃 400億円興行の果実をスタジオに残した革命児。同時にカフェ売上を抜いた4億4,600万円の脱税事件で執行猶予付き有罪判決を受けた、光と影の経営者。
| 生年月日 | 1969年12月2日(55歳) |
|---|---|
| 出身地 | 徳島県徳島市 |
| 経歴 | 20代前半:ゲーム関連書籍ライター → 東京ムービー新社(現トムス・エンタテインメント)/テレコム・アニメーションフィルムで制作進行(『スパイダーマン』『ルパン三世』等)→ ステップ映像で制作プロデューサー → 1999年独立 → 2000年10月 ufotable 法人登記、代表取締役社長就任 |
| 現職 | ユーフォーテーブル有限会社 代表取締役社長/ufotable KOREA 会長 |
| 創業動機 | 「自分が25歳の時に 居たい と思える会社を作りたい」 |
| 起業時の資本金 | 300万円。北池袋の四畳半に机2台で出発 |
近藤は会社員時代の貯金と仲間からの資金で、北池袋のマンションの四畳半に机2台で ufotable を始めた。これは「業界の徒弟制度」でも「大手の下請け」でもなく、小さな職人集団を志向する出発点だった。最初の数年は資金繰りに苦しみ、近藤自身が制作・脚本・演出を兼任することも珍しくなかった。
日本アニメ業界の標準は 「製作委員会方式」。出版社・TV局・玩具会社・配信会社など複数のスポンサーが共同出資し、リスクと利益を分散する。スタジオは「制作委託費」を受け取るだけで、ヒットしてもグッズや配信収益のリターンはほぼ入らない。
ufotable はこの構造に意図的に距離を置いた。製作クレジットの並列会社数を最小限に絞り、版権を多く保持することで、ヒット時のアップサイドを取りに行く。これは業界では極めて異例。「鬼滅の刃」ではアニプレックス45% / 集英社45% / ufotable 10%(推定)の3社のみで構成された珍しい体制だった。
ufotable は 2008年以降、グロス出し(話単位での外部スタジオ委託)を一切していない。監督・キャラクターデザイン・作画監督・撮影監督・3D監督などの主要スタッフをすべて社内で抱える。
その結果、『Fate/Zero』『Fate/stay night [UBW]』『鬼滅の刃』で見られる「圧倒的な撮影効果(エフェクト)と背景美術」が生まれた。鬼滅の刃の「水の呼吸」「炎の呼吸」のエフェクト表現は、Autodesk 社のケーススタディでも取り上げられるほど世界的に評価が高い。
通常、アニメグッズは アニプレックスや東宝などの版元や、バンダイ・グッドスマイル等の玩具会社が販売し、スタジオには小さなロイヤリティしか入らない。
ufotable は自社ECサイト「ufotable WEBSHOP」と、実店舗「ufotable Cafe」(東京・大阪・徳島・名古屋・福岡、計11店舗 + 韓国・中国)を持ち、グッズとカフェメニューを直販。鬼滅の刃ブームの際、Cafe 売上が膨大になった。
2009年、近藤の故郷・徳島市で 「マチ★アソビ」を立ち上げ。年2回開催の市街地全域を会場とするアニメ複合フェス。徳島市の人口は約25万人だが、フェス期間中の来場者数は 20〜30万人規模。地元商店街・ホテル・タクシーすべてに経済効果が波及。2017年「アニメ聖地88」選定。
| 項目 | 規模・地位 |
|---|---|
| 会社 | ユーフォーテーブル有限会社(256名・全員正社員) |
| 本社 | 東京都中野区(スタジオ)/徳島スタジオ/福岡スタジオ |
| 主要IP | TYPE-MOON 関連(空の境界、Fate/Zero、Fate/stay night [UBW]、Fate/stay night [HF] 三部作)、鬼滅の刃シリーズ |
| 代表的興行成績 | 劇場版「鬼滅の刃」無限列車編 国内興収 407.5億円(日本歴代1位、千と千尋の316.8億を超える)、世界興収 約 517億円、来場者 約 4,135万人 |
| 最新興行 | 鬼滅の刃 無限城編 第一章 猗窩座再来 全世界累計動員 約9,852万人、総興収 約 1,179億円(邦画歴代1位、2026年4月時点) |
| 直販事業 | ufotable Cafe(複数都市)、ufotable CINEMA(徳島)、WEBSHOP Global(北米・欧州・アジア・中南米・中東・豪州配送) |
近藤は「自分が25歳のとき、いたいと思える会社を作りたかった」を動機に独立。2002年の『フタコイオルタナティブ』『ニニンがシノブ伝』で徐々に名を上げる。
奈須きのこ/武内崇率いる TYPE-MOON との関係が始まる。最初の劇場版『空の境界』(2007〜2009、全7章)でファンの熱量を可視化。1作品ごとに劇場限定グッズを売るモデルがここで確立した。その後 『Fate/Zero』(2011〜12)、『Fate/stay night [UBW]』(2014〜15)、『劇場版 Fate/stay night [HF]』三部作(2017〜2020)へ発展。
近藤は故郷・徳島市の観光協会に「徳島の阿波踊りをアニメ風にデザインしたポスターを作りませんか」と提案したのがきっかけ。そこから「アニメ・声優・コスプレ・痛車・先行上映」を組み合わせた複合フェスが生まれた。地元商店街・ホテル・タクシーすべてに経済効果が波及。
『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』が公開されると、コロナ禍で映画館が苦しい中、空前の動員を記録。国内興行収入407.5億円、千と千尋の316.8億円を超え邦画歴代1位。世界興収517億円。
ここで業界が驚いたのは 「ufotableが版権を多く保持していた」こと。製作委員会方式なら制作費の数%しかスタジオに入らないが、ufotableのスタジオ規模で 数十億円規模の利益を内部に残せたと推定される。「アニメ業界の構造を知る人ほど、ufotableの取り分にショックを受けた」と評される。
2019年3月、東京国税局が ufotable と近藤社長の自宅などを家宅捜索。判明した事実:
2020年6月に東京地検が起訴。2021年12月10日、東京地裁判決:
脱税事件から4年、ufotable は『劇場版 鬼滅の刃 無限城編 第一章 猗窩座再来』で全世界興収1,179億円、邦画歴代1位を記録(2026年4月時点)。スタジオとしての制作力は依然世界トップクラス、という実証になった。
| 関係 | 人物 | 関係性 |
|---|---|---|
| 最重要パートナー | 奈須きのこ(TYPE-MOON 脚本) | Fate シリーズ原作者。20年来の盟友 |
| 最重要パートナー | 武内崇(TYPE-MOON 代表) | TYPE-MOON 共同創業者 |
| 主要監督 | 外崎春雄 | 鬼滅の刃 TVアニメ・無限列車編・無限城編 監督 |
| 主要キャラデザ | 松島晃 | 鬼滅の刃 キャラクターデザイン・総作画監督 |
| 原作者(鬼滅) | 吾峠呼世晴(ごとうげ こよはる) | 連載中はほぼ表に出ない作家。ufotable のアニメ化が IPを世界へ運んだ |
| 業界の対比軸 | MAPPA(呪術廻戦・進撃の巨人) | 同様に「内製主義+ヒット作で急拡大」のスタジオ。ただし製作委員会方式と協調 |
| 業界の対比軸 | 京都アニメーション | 「内製・地方拠点・職人主義」の先行モデル |
| 行政連携 | 徳島県・徳島市役所 | マチ★アソビでの長期パートナー |
| 業界周辺 | アニプレックス | 鬼滅の刃の主要出資者・配給。ufotable と長期取引 |
出典: 近藤光 - Wikipedia / 日本経済新聞「鬼滅制作会社側に有罪 1.3億円脱税」 / AV Watch「劇場版『鬼滅の刃』興収400億円突破」 / ファミ通「鬼滅 無限城編 第一章 全世界1,179億円」 / ufotable企業ページ / 鬼滅劇場版400億エピソード