アニメ人物 庵野秀明

規模シン・エヴァンゲリオン劇場版 国内興収 102.8億円(コロナ禍2021年)/エヴァTV版含むシリーズ累計国内300億円超/パチンコ機シリーズ累計5,000万台超
秀逸さの本質「自分で出資して、自分で版権を持ち、自分で配給する」を実践した作家かつ経営者。株式会社カラー(100%個人出資・取締役会なし)でアニメ業界に前例のない収益独占モデルを実証
派生効果「製作委員会脱却が最大の経済利益を生む」ことの実証。ufotable・新海誠×CWFなど「内部留保型スタジオ」志向の潮流を作り、日本特撮のSJHU構想でIP横断プロデューサーという新ポジションを確立

基本プロフィール

生年月日1960年5月22日(山口県宇部市)
学歴大阪芸術大学映像計画学科 中退(1983年)
現職株式会社カラー(khara)代表取締役
カラーの特異性庵野秀明100%個人出資・取締役会なし・製作委員会不参加・IPはカラー保持
受賞歴紫綬褒章(2014)、菊池寛賞、日本アカデミー賞最優秀作品賞(シン・ゴジラ)
NPO活動アニメ特撮アーカイブ機構(ATAC)代表理事(2017年設立)

カラーの異例な経営構造

項目カラー業界平均
出資庵野秀明 100% 全額個人出資出版社・玩具会社・配信会社が出資
取締役会なし(庵野単独決定)通常3〜5名の取締役会
製作委員会参加しない(自社全額出資が基本)委員会の1社として参加
版権作品IPはカラーが保持スタジオは制作受託のみ、権利は委員会へ

ヱヴァンゲリヲン新劇場版 4部作の経済構造

作品公開年国内興収出資・製作
序(じょ)200720億円カラー 100%自己資金
破(は)200940億円カラー主導(東宝・カラー)
Q(きゅー)201253億円カラー+東宝・東映
シン・エヴァ2021102.8億円カラー+東宝・東映(カラー自社配給
シン・エヴァ「自社配給」の革命性
シン・エヴァの配給に「株式会社カラー」が並んだのは日本アニメ史で前例のない事態。通常は「劇場50%・配給20%・製作30%」という配分を、カラーが配給と製作を兼ねることで興収の50〜80%相当を内部化。製作委員会方式に従っていれば数億円程度に収まっていたはずの金額が、数十億円規模でカラーに残ったと業界誌は推定する。

重要エピソード(時系列)

1983〜1984年

ナウシカ巨神兵、22歳の暴走

大阪芸大を中退した庵野(当時22歳)が宮崎駿の面接で大量の原画を披露し、「巨神兵が王蟲を薙ぎ払うクライマックス」を一人で担当。全カット一人原画で「液体的・流動的な狂気の動き」を表現した。宮崎は後に「あれは庵野でなければ描けない。僕には描けない」とコメント。

1995〜1996年

エヴァ最終2話、ノイローゼと「おめでとう」

テレビ東京系で全26話放送し社会現象に。制作スケジュール崩壊の中、最終2話は抽象的内省描写に切り替えられ「セカイ系」というジャンルの起点となった。庵野は「本当に追い詰められていた」「視聴者と心中するつもりだった」と後に語る。パチンコ機シリーズではフィールズ製エヴァパチが累計5,000万台超に達した。

2006〜2014年

ガイナックス独立、版権の戦い

ガイナックスの放漫経営(1999年脱税事件等)に絶望した庵野が2006年9月に株式会社カラーを個人全額出資で設立。「合議制が機能しない」苦い経験から取締役会も置かないシンプルな意思決定体制を選択。2014年にはガイナックスへの無利子無担保1億円融資の条件として「エヴァ版権の完全移管」を要求し実現。シン・エヴァの収益独占構造の最後のピースが嵌まった。

2016年7月

シン・ゴジラ、東宝との同盟

庵野が総監督・脚本、樋口真嗣が監督。国内興収82.5億円で2016年東宝邦画1位。「庵野秀明という個人ブランドを東宝の旗艦コンテンツに据える」関係を確立し、以降東宝はカラーとの長期パートナーとなった。「特撮邦画の復権」の起点ともなり、後続のシン・シリーズへと繋がった。

2021年3月

シン・エヴァ、コロナ禍の100億円

緊急事態宣言下で公開開始4日間に興収33億円、最終102.8億円。カラーが配給会社として並立するという前例のない座組みで、カラーの取り分は推定30〜50億円。「コロナ禍でも100億突破」と「製作委員会脱却が現実的に最大の経済利益を生む」の両方を実証した。

2022〜2023年

シン・ジャパン・ヒーローズ・ユニバース(SJHU)構想

シン・ゴジラ(東宝)、シン・ウルトラマン(円谷プロ)、シン・仮面ライダー(東映・石ノ森プロ)、シン・エヴァを「SJHU」として統合。本来競合する各社のIPを横断できる人物が「庵野秀明」しかいないという個人ブランド依存の構造で、MCU的な日本特撮ユニバースが初めて成立した。

関連人物・系譜

関係人物関係性
宮崎駿ナウシカ以降の長年の師。庵野の結婚式で挨拶も
特撮の盟友樋口真嗣DAICON FILM以来の盟友。シン・ゴジラ/シン・ウルトラマン監督
DAICON仲間山賀博之、赤井孝美、岡田斗司夫大阪芸大時代〜ガイナックス共同創業
安野モヨコ(漫画家)『さくらん』作者。庵野作品の「人間味」の源泉
音楽プロデューサー的存在大月俊倫(キングレコード)エヴァの音楽・OST を一貫してプロデュース
後輩監督新海誠、細田守庵野は「同じ自営業者として尊敬する」と発言