アニメ 2018年連載開始から2025年劇場版三部作まで。「配信×SNSバイラル×グローバル同時消費」の現代型IPが誕生するまでの10の決定的瞬間。
2018年3月5日、週刊少年ジャンプで『呪術廻戦』連載開始。芥見下々の初の長編連載。前日譚『東京都立呪術高等専門学校』(2017年・ジャンプGIGA掲載)から本誌昇格という経緯を持つ。
当時、集英社の「ジャンプ次世代5作品」(鬼滅の刃・約束のネバーランド・Dr.STONE・呪術廻戦・チェンソーマン)のうちの一作として並走。連載初期から集英社編集部の重点プッシュを受け、約2年半という異例の速さでアニメ化が決定する。
2019年10月、アニメ化決定とMAPPA制作が発表された。当時のMAPPAは『進撃の巨人 Final Season』(2020年放送)の制作も並行で進めており、業界注目の新興スタジオだった。
集英社の人気作でMAPPAが制作担当に指名されたのは初の事例。過去のジャンプ大作では旧WIT STUDIO・ufotable・ボンズなどが多く、MAPPAへの委託は「新世代スタジオに大型作品を任せる」という集英社の戦略転換を示した。
2020年10月3日、アニメ第1期放送開始(MBS/TBS系)。コロナ禍で在宅視聴需要が急増した時期に、Crunchyroll・Netflix・bilibiliで世界同時配信が開始。SNSでの爆発的な話題化が起き、放送期間中にマンガ単行本が月間ベストセラーを連続独占。累計部数が500万部から2,000万部へと約6ヶ月で4倍に急増した。
2021年4月、第5回Crunchyroll Anime Awardsで『呪術廻戦』第1期がアニメ・オブ・ザ・イヤーを含む多数を受賞した。北米最大のアニメアワードでの受賞により、北米市場でのIPブランド構築の決定打となった。
以降、北米・欧州での呪術廻戦ファンダムが急拡大。「グローバル同時配信時代のプラットフォームアワード→IP価値の正のフィードバック」という現代型の海外展開を実証した。
劇場版『呪術廻戦 0』公開。国内興収138億円・観客動員約990万人。前日譚『東京都立呪術高等専門学校』のアニメ化で、本編の直前エピソードを描く。世界興収は約197百万ドル、北米でも34百万ドルの日本アニメ映画歴代上位記録。
鬼滅の刃『無限列車編』(404億円)には及ばないが、劇場版での世界同時展開として呪術廻戦のグローバルブランドを確定づけた。
2023年7月6日〜12月28日放送のアニメ第2期。特に10月放送の第40話(五条悟が封印されるエピソード)がTwitter世界トレンド1位を獲得。日本だけでなく英語圏・スペイン語圏・中華圏で同時に話題沸騰。Disney+がアジア地域で独占配信した効果もあり、東南アジアのファンダムも急拡大した。
2023年7月、MAPPAの元社員によるSNS告発で、アニメーターの待遇・スケジュール過密が業界と社会で議論化。『チェンソーマン』『呪術廻戦 第2期』『進撃の巨人 Final Season』の同時制作によるスタッフの過剰負担、低単価・健康リスクが問題視された。
MAPPA経営側は「業界平均並の待遇」を主張し議論は継続中だが、この事件は「MAPPA単独製作モデルの裏に潜む労働問題」を可視化させた。
2024年9月30日、週刊少年ジャンプ43号で『呪術廻戦』連載完結(全271話)。単行本累計発行部数1億部超を達成。連載6年半での1億部は鬼滅の刃(4年強)に次ぐ速度で、「短期集中型ジャンプIP」の2例目として確立。
最終局面(死滅回游編・人外魔境新宿決戦編)への賛否両論があり、ファンとの関係性が複雑化したが、完結後も劇場版三部作(2025〜)でロングテール展開が続く。
2025年12月20日(予定)、劇場版『呪術廻戦 無限城編 第一章』公開(東宝配給)。三部作構成で2027年頃まで展開。鬼滅の刃『無限列車編』三部作(2025〜2027)と公開時期が重なり「ジャンプIP対決」となる。
マンガ完結(2024年9月)後もMAPPAが劇場長編三部作という大型プロジェクトを担う構造は、「制作スタジオが著作権を出資する」MAPPAモデルの最大規模の実証となる予定。
第1期(2020〜):Crunchyroll・Netflix・bilibili同時配信。第2期(2023〜):Crunchyroll・Disney+(アジア独占)配信。劇場版:配信権はDisney+で継続。
Crunchyroll(Sony傘下)・Netflix・Disney+・bilibiliという4大プラットフォームの同時展開は業界の海外配信モデルを再定義した。鬼滅・ジブリの「劇場興行・テレビ放映」中心モデルとは異なる「配信×SNS」型IP消費の確立。