アニメ 1995年TV版放送から2024年の文化功労者選定まで。エヴァという「未完であり続けたIP」が26年かけて完結するまでの10の決定的瞬間。
テレビ東京系で『新世紀エヴァンゲリオン』放送開始。テレビ東京・GAINAX・キングレコード・ジェネオン・NASを中心とする製作委員会方式で組成されたアニメ。
1990年代前半までのアニメはテレビ局単独スポンサーか玩具会社主導が主流。エヴァは「リスク分散×各社専門性活用」の製作委員会方式を大型作品で実装した。以降、深夜アニメ全体がこの方式に移行し、現代日本アニメ業界の標準モデルがここから始まった。
TV版最終回(第26話)が放送された。物語の伏線回収を放棄し、主人公・碇シンジの内面的決着を抽象的演出で描いた異例の結末。制作費・スタッフの疲弊・庵野秀明の精神的限界が重なり、「劇場版としての本当の結末」が予告される形で終わった。
「アニメは予定調和なエンタメ」という従来の常識を破壊した回。ファンの怒りと混乱が逆にIPの議論性・話題性を爆発的に高め、翌年の劇場版への期待を極限まで高めた。
劇場版『THE END OF EVANGELION Air/まごころを、君に』公開。TV版最終回を「やり直す」形で、視覚的・暴力的に物語を再提示。配給収入13億円・興収24.5億円。
この作品が「TV版の不完全さを劇場版で補完するメディア横断完結モデル」を確立した。ファンに賛否両論を巻き起こし、「エヴァは決着しない、考察し続ける作品」としての位置づけが固定された。
庵野秀明が株式会社カラーを設立、GAINAXから事実上独立した。当時のGAINAX経営陣との不和、より自由な制作環境を求めた庵野の判断だったとされる。「庵野秀明+少数の右腕クリエイター」のスタジオとして機能する体制を構築。
この独立によって、新劇場版以降の権利構造が根本から変わった。庵野秀明はカラー代表として著作権の中核を保有し、興行収益・配信収益・グッズ収益から最大の取り分を得る構造が生まれた。
『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』公開(東宝配給)。興収20億円。TV版・旧劇場版から10年ぶりの「新エヴァ」として、1995年世代と2007年世代が同時に劇場へ向かった。
カラーが製作主体として独立採算化を実現した最初の作品。業界は「GAINAXではなくカラーが作る、庵野秀明が権利を持つエヴァ」という新しい権利構造に注目した。
『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』公開。前作『序』の倍となる興収40億円を達成。カラー独立採算モデルが商業的成功を証明した瞬間。
「TV版以来のファン」に加え、「序」から入った新規ファンを取り込み、シリーズ全体の観客動員が拡大する構図を確立。
『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』公開。前作『破』から14年後の世界観という予想外の展開に、ファンが大きく分断された。興収52.6億円だが「これじゃない感」という強い批判も噴出した。
この作品以降、第4作の完成が9年後(2021年)まで大幅遅延し、その間ファンの「シン・エヴァへの渇望」が膨張した。しかし、この未完IPへの飢餓感が逆にブランド価値を長期維持した両面の効果がある。
庵野秀明監督・脚本の実写映画『シン・ゴジラ』公開(東宝配給)。興収82.5億円、第40回日本アカデミー賞最優秀作品賞受賞。エヴァ以外の領域で「庵野秀明=日本特撮・アニメ文化の継承者」ブランドを確立した。
「シン・ゴジラの庵野」というラベルが、エヴァ第4作を待ち続けるファンの期待値をさらに高めた。カラーの作品価値も連動して上昇。
コロナ禍下にもかかわらず国内興収102.8億円・観客動員730万人を達成。26年に及ぶエヴァシリーズの完結。同年、Amazon Prime Videoで新劇場版四部作セットの全世界独占配信が実現した(邦画初の全世界同時配信モデル)。
TV版1995年世代(当時小中学生、完結時40代前後)が劇場に押し寄せ、「26年越しの決着」として社会現象化。Amazon独占配信は海外市場での即時公開を実現し、海外ファンへの同時リーチが生まれた。
2024年7月、庵野秀明が文化功労者に選定。アニメ・特撮分野の作家が文化功労者となるのは稀。「カウンターカルチャーから国民文化へ」のエヴァ・庵野ブランドの転換を日本政府が公式に認定した瞬間。