東映アニメーション アニメ 有益企業

40年スパンのエバーグリーンIPと売上1,000億円突破のIP企業

ドラゴンボール(1984年〜)・ONE PIECE(1999年〜)・プリキュア(2004年〜)など40年スパンで収益を生み続けるエバーグリーンIPを保有し、「制作会社」から「IP企業」への転換を明確に標榜。2025年3月期に売上が初の1,000億円を突破し、中期計画「VISION 2030」では2031年3月期に2,000億円、長期では5,000億円企業を視野に入れる。版権事業のセグメント利益率は50%超。

A. 決算

売上・利益推移(直近5期、連結)

売上高営業利益主な要因
2021年3月期553億円117億円コロナ禍だが配信特需
2022年3月期765億円195億円配信版権好調
2023年3月期833億円227億円「THE FIRST SLAM DUNK」大ヒット
2024年3月期887億円234億円「鬼太郎誕生」・スラムダンク海外配信権
2025年3月期1,008億円(+13.7%)324億円(+38.8%)売上初の1,000億円突破。ワンピース・ドラゴンボール海外好調

セグメント別売上(2025年3月期)

セグメント売上利益
版権事業(ライセンス・配信)約500億円約260億円(利益率50%超)
映像製作・販売事業約330億円約110億円
商品販売事業約100億円約20億円

中期計画「VISION 2030」: 2031年3月期に売上2,000億円(2026年比2倍)・営業利益500億円を目標。長期では5,000億円企業を視野に置く。

B. 事業構造

主要IP・海外展開状況

IP保有形態海外展開
ドラゴンボール集英社・東映の共同世界80カ国超、2024年「DAIMA」がNetflix世界2位
ONE PIECE集英社・東映の共同Netflix実写ドラマ化、世界配信
プリキュア自社オリジナル北米・東南アジアで放送、毎年劇場版
デジモン自社オリジナル北米Crunchyroll配信
聖闘士星矢車田正美・集英社フランスで「Les Chevaliers du Zodiaque」として社会現象
スラムダンク集英社・井上雄彦「THE FIRST SLAM DUNK」中国・韓国・東南アジアで爆発的ヒット

3DCG・VFX技術の内製化

「THE FIRST SLAM DUNK」(2022年)はフル3DCGによる最先端表現で国内興行収入158億円超、中国だけで100億円超のヒット。自社開発ツール「3Dレイアウト」(Blenderベース)を映画「プリキュア」で実用化し、「日本でフル3D作品でも2Dアニメに劣らない技術を持つ稀有な会社」と評価される。

C. 組織構造

従業員・経営陣

項目内容
連結従業員数1,000名超
単体従業員数(2025年3月末)696名
代表取締役会長森下孝三
代表取締役社長高木勝裕(1957年生、1980年東映動画入社、版権事業出身、2012年社長就任)
筆頭株主東映株式会社(34.17%)

グループ・関連会社

会社名役割
東映アニメーションUSA北米法人
東映アニメーション欧州法人(パリ)欧州展開
東映アニメーションフィリピン仕上げ・動画工程の海外拠点
東映アニメーション・ミュージック・パブリッシング音楽出版

D. 業界における位置づけ

「秀逸さ」の5つの本質

制作話数累計約13,900話、劇場作品269本、TV作品238本(2024年6月時点)。国内アニメ制作会社で売上規模トップ。

E. 主要エピソード

1948年
「日動映画」設立 → 1956年東映が買収し「東映動画」に
1958年「白蛇伝」が日本初の長編カラーアニメーション公開。「東洋のディズニー」を目指し、宮崎駿・高畑勲・大塚康生らも入社(後に独立してジブリへ)。
1986年
「ドラゴンボール」TVアニメ化(1984年連載開始の鳥山明作品)
以降、Z(1989年)・GT(1996年)・改(2009年)・超(2015年)・DAIMA(2024年)と40年継続。北米・欧州・南米でも国民的人気となり、バンダイナムコ経由のグッズだけで年間1,500億円規模。
2004年
「プリキュア」シリーズ開始(テレビ朝日日曜朝枠)
「ふたりはプリキュア」が初作。2026年で第22作目まで継続。玩具売上は年間100億円規模、毎年の劇場版が定番化。「女児ターゲットだが大人にも届く」二重訴求でロングランIPに成長。
2022年12月
「THE FIRST SLAM DUNK」フル3DCGで興行158億円超
井上雄彦自身が監督。フル3CGアニメーションだが2Dアニメの質感を再現する東映独自技術。中国・韓国・東南アジアで社会現象化(中国だけで100億円超)。「日本のアニメは2D」という固定観念を打ち破った技術的画期作。
2024年5月
「VISION 2030」発表——売上1,000億円→2,000億円へ
新中期経営計画で5年間で売上を倍増(2031年3月期2,000億円・営業利益500億円)。長期では5,000億円企業を視野。IP軸でのグローバル事業展開を加速。
2024年10月
「ドラゴンボールDAIMA」Netflix世界2位
新作TVアニメが日本・全世界で配信開始、Netflix「世界週間アニメランキング」で配信開始週に世界2位獲得。鳥山明氏の生前最後のアニメ作品プロジェクト。40年経っても世界トップクラスの集客力を実証。

参考: 東映アニメーション IR 業績ハイライト / gamebiz 2Q決算 / animationbusiness.info VISION 2030 / Strainer 東映アニメIP企業化 / 東映アニメーション - Wikipedia